55 ページ5
もうしゃっくりも止まった頃にようやく頭の整理もついて、１つ気づいた
これだけ泣きまくって、迷惑かけて、背中をさすってくれたり、兎にも触らせて貰えてんのに
俺は何一つとして感謝の言葉を述べていない
隷属だから主人だからとかのそう言った立場の事よりも
前提として、何かしてもらったら感謝する、は当然の礼儀なんだ
嘘とか本当とかはこの際置いといて、迷惑をかけたこと、尽くしてくれたこと、という今の現状というか事実は覆しようのないものなんだから
キチンと謝罪と感謝を言わねぇと
世間的に無くとも、自分自身の心の片隅には人としての尊厳はまだ残ってる気がするから
「あ、あの」
自分から主人に向けて話すなんて、始めてかもしんない
言葉を口にしてから、本当に俺が勝手に喋ってもいいものなのか、と若干の不安がよぎった
けど、主人達は特に何も言わないし、怒ったような雰囲気も無い
けど、こっちを見てるからきっと続きの言葉を待ってくれてるんだろう
言わなければいけないことを声にしようとして、少しの疑問が頭の中に湧いた
絶対今現れるべきでは無かった、余計な疑問
謝罪と感謝、どっちを先に言えばいいんだろうか
迷惑をかけたんだから真っ先に言うべきは謝罪か？
それが常識のような気もするんだが
”ごめんなさい”より”ありがとう”のほうが言われる側は嬉しい、みたいなそんな事を聞いたことがあったような気がする
考える時間なんて無い。
主人達の意識を自分に向かせたのは紛れもない自分自身なんだから、さっさと次の言葉を言わねぇと
よし、感謝だ。感謝の言葉を先に言おう！
緊張とか不安とか諸々の所為で心臓がうるさいし、手がすっげぇ震えてるが、ちゃんと言わなければ
「ぁ……、ありが」
どうにでもなれ！
その心の勢いのままに言おうと思って言葉を紡いだ途端
ギギィィ…とドアが開く音
それに次いで、聞こえるのは大きなあくび
つい、ここにいる全員の意識と目線がそっちに向けられたのは仕方ないだろう
くたびれたヨレヨレのスーツを雑に着た、青色
「さっきえらい騒がしかったけど何かあったん？」
起きたばっかりなのだろうか
目を擦りながらそう言うのは鬱様
馬車と食堂で顔を合わせたが、話している姿を見るのはこれが始めてかもしれない
寝ぼけ眼で彼は目の前の状況を理解したのか、パチクリと数回瞬きをして、言った
「え、なに？これどういう状況？」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 215人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ねここぶた兼ねっこんこん(プロフ) - うさまるさん» コメントありがとうございます！これからも頑張りますね🥰 (4月26日 18時) (
レス) id: f7a56a3668 (このIDを非表示/違反報告)
うさまる - 面白くて大好きです (4月24日 18時) (レス) @page15 id: 4c17b50875 (このIDを非表示/違反報告)
ねここぶた兼ねっこんこん(プロフ) - その辺の花さん» ありがたいお言葉をいただき感謝感激です😭😭更新は土日がメインになると思いますので、楽しみに待っていただけたら幸いです！貴方様も体調には十分にお気をつけください🥰 (4月17日 11時) (レス) id: f7a56a3668 (このIDを非表示/違反報告)
ねここぶた兼ねっこんこん(プロフ) - MidnigHtさん» 大好きと言って貰えて、とても嬉しいです！更新は最近はかなり遅くなっていますが、気長にお待ちいただけると幸いです🥰これからも頑張ります！ (4月17日 11時) (レス) id: f7a56a3668 (このIDを非表示/違反報告)
その辺の花 - こちらの作品に出会ってから、毎日更新を楽しみにしています！お忙しい中、読者に素敵な作品を届けてくださり本当にありがとうございますm(_ _)m体調やお時間にご無理のないように頑張ってください！陰ながら応援してます💐 (4月16日 22時) (レス) id: 25fc77da9c (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ねっこんこん | 作成日時：2024年4月4日 17時
