お嬢と隷属青年は我々だと幸福を享受したい2【d!】

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先程の思考回路は全て杞憂だったなざまぁみろ、と世界は言いたいんだろうか

連れて行かれたのは他の幾人かも集まっている紛れもない談話室だったし、
サプライズと言われて渡されたのは、小綺麗な黒と白の服

着てみろ、とのことだからそれに従ってみればどうやら執事服のような感じで

新品なのか少し硬くて、自分でも着慣れない感じがすごかった

「似合っているぞ」

その言葉が懐かしく思えたのは、きっと
中学の入学式の事を思い出したから。

家の玄関前に俺は立って、前で母さんがスマートフォンを構えて写真を撮ってた

その後に言われた、似合っている、と言う言葉

小学生からちょっとだけ大人になれたようなあのくすぐったさが、今蘇ってきているような気がした。

「……ありがとうございます、フューラー様」

クソっ、やっぱり俺は馬鹿だ

ずっと恐怖を想像していたのに、こうして優しくされると安堵よりも「いつも通りだ」に似通った感情と思考が生まれやがる

主人達の優しさを本物だって信じちまってる、って証拠を突きつけられた気分で

本当に馬鹿で阿呆で、一発自分の頭をぶん殴ってやりたい

「で、だアル。お前に一つ、仕事を課すつもりだ」

敷地内の掃き掃除をして貰いたい。

仕事、なんて言うから苦行をさせられんのかと思ったけど、実際な主人の口から伝えられた仕事内容は響き的には随分と簡単な内容だった

あれか？
掃き掃除なんて言っておいて、実際はこの冬場に長時間外に放置する建前とか、そんな感じか？

大丈夫、それなら慣れてる。
寧ろ服がボロボロすぎてほぼ半裸状態の中で極寒の、しかもひょうが降りしきる中で半日以上放り出されたことだってあるんだ

何年くらい前だったかは忘れたけども。

「あぁ、そうだ。外は寒いから手袋と、カイロを持っているといい」

あれ、違ったかもしんねぇ。

フューラー様から手渡された手袋は装飾とかは何も無いごくシンプルなものだけど、ちゃんとしっかりした作りで暖かそうだし、カイロも2個渡されてしまった

まだ、何もしないってことか…？

あー………つまり、優しくしてその後に手の平返しするにはまだ早いって事？

そういえば、この屋敷でエニスと俺以外の隷属の奴らをみたことがない気がする

どこからともなく呻き声が聞こえるわけでもねぇし

前の主人とは違って、娯楽目的じゃなくて単純な労働力を求めてんのかな

……そういうことにしておこう。

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