潜書先は乙女ゲーム (ページ6)

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「ところでA先生、乙女ゲームってご存知ですか？」

ん？おと…げ…？

スペキャ状態に陥っていると、伶が苦笑いする。
なんかもう、色々とご迷惑をおかけしてすみません。

「この世界は、乙女ゲームなんです」

「おとめげーむ」

「はい」

伶の説明は続く。

ここは『恋の主役は我々だ！』通称『我恋』という乙女ゲームの中の世界であること。
乙女ゲームとは、女性向け恋愛ゲームで、主人公(プレイヤー)が女性のゲームの総称だそうだ。

「私はヒロインのお助け役に転生しました。そして、A先生は楯山という悪女になっています」

「はい質問！」

「どうぞ、A先生！」

「あくじょってなんなん？」

「悪女というのは、偶に登場してはヒロインを虐めていく集団のリーダーという感じです」

「苗字だけなん？」

「ほぼモブ扱いですから。容姿もシルエットでした」

「なるほど納得かたつむり」

となると、どうすれば潜書完了なんや？
ヒロインとやらを定期的に虐めればええんかな。

「A先生。なんとなく考えてる事はわかりましたけど、別に虐めなくていいですからね」

「エスパーかな？…って、そうなん？」

「A先生が誰かを虐めるとか全く想像つきません絶対にやめてください解釈違いどころか最早地雷ですというかA先生が悪女とか運営は頭狂ってるんですか…じゃなくて」

不穏な意見が聞こえたが、敢えてスルーしよう。
なんかもう深く関わったらいけない気がする。

閑話休題

乙女ゲームには色々と分岐があり、楯山さんがそんなに出て来ないルートも普通にあるそうだ。
つまり、無理に虐める必要は無いらしい。

「つまりA先生は、侵蝕者を狩りながら学園生活を楽しむだけでいいんですよ」

「侵蝕者を狩りながら楽しむっていうぱわーわーどに困惑してんねけど」

「そんな無理に現代語を使わなくても。A先生の場合は2年間ですかね」

そろそろ思考を放棄したい(切実)