知らない世界の真ん中に ページ3
「…なんやこれ」
某日某所、帝國図書館の司書室にて。
本日の助手であるAは、一つの箱を手に取っていた。
「本…にしては小さいし。なんやこの箱…爆弾？」
「爆弾なんてある訳ないだろ。なにしてるんだ？」
「ししょさ…兄さん！この箱なんか分かる？」
手渡された箱は、司書である兄さんにも見覚えがなかった。
手の中でクルクルと回しながら全体を見渡し、そっと机に置いた。
「うーん、本が入っていた箱にしては小さいな？」
「めっちゃ怪しい…」
そう呟きながら、兄さんが机に置いた箱をつつくA。
見た目はただの黒色の箱で、プレゼントのように銀色のリボンでラッピングされている。
「ちょっと匿ってくれ！…あれ、なにしてんの？」
「あ、太宰」
慌てて駆け込んできた太宰に、Aは軽く手を振る。
手を振り返すと、太宰はAと兄さんの元へ駆け寄ってきた。
「太宰か。お前もこれに見覚えないか？」
「うーん、見た事ないな。なにこれ、侵食された？」
「いや、気付いたらここにあった…ってところだな」
「へぇー…ってヤバい！」
顔を真っ青にして、司書室の机の下に潜り込む太宰。
その行動が終わると同時に、また司書室に乱入者が現れた。
「太宰〜？」
「ピエッ…あ」
「よし行こうか」
あっさりと見付かった太宰に微笑みを浮かべて近付くペ神。
もう既にカオスである。
「ちょ、太宰はなにをしたんだ？」
「ん？あと少しで耗弱って傷を隠してた」
「「逝ってらっしゃい」」
「裏切り者ぉぉおぉぉ！」
また逃走を図った太宰の手が箱に当たり、落下する。
ゴンッと鈍い音を立てて床に追突し、ラッピングが解けた箱から中身が転がり落ちた。
「あ、落ちた…は！？」
中身は、真っ黒に侵食されていた。
本ではないと分かるほどに形状が違うが、それでも確かに侵食されていることが分かる。
「な、なんだこれ…！本じゃないよな！？」
「どう見ても異常事態だね」
「侵食されている以上、なんらかの作品であることは確かだ！取り敢えず、潜書室へ移動させるぞ！」
「了解！」
そう言って、Aが触れた瞬間だった。
謎の作品から眩い光が溢れ、Aを包む。
その光は、潜書時に見るものとどこか似ている。
兄さん、太宰、しんぺい神の3人が目を開けた時。
そこに残されたのは、侵食された作品と壊れた箱だけだった。
「嘘だろ…Aが…潜書しちゃった…？」
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百華夜 - めっちゃおもろい！更新頑張り！ (2022年9月2日 22時) (
レス) @page24 id: a48955bec9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：林檎 | 作成日時：2022年8月13日 20時
