22日目 快癒【ut】 ページ31
目を覚まし，辺りを見渡す。頭の中はまだぼやけていた。そして，昨日のことを思い出す。…そうか，昨日はあのまま寝落ちてしまったんだ。
大きく伸びをする。すると，体に痛みが走る。…このままで大丈夫か？はあ，前みたいに鬱とかが来てくれたらな―。
ut「あ，起きとったんや。おはよ。」
鬱が牢の外から話しかけてくる。そして，手慣れたように牢の鍵を開け，中に入った。片手に持っているのは救急箱らしいもの。
…どうやら，今日は私に運が回ってきたらしい。
『…治療，してくれるのか？』
ut「うん。それが俺の仕事やからな。」
鬱が地べたに座り，救急箱を漁りながら答える。その返答が，今はただただ有り難い。こんな奴に感謝する日が来るなんて。
ut「しみるかもしれんけど，我慢してな。」
『…。』
傷口に消毒液がしみる。しかし，もう慣れたものだ。今までもよく怪我を負っては治療しての繰り返しだったからな。
うちの国の軍医は過保護で，私が大怪我負う度に泣きそうになってたっけ…って，私は何を急に懐かしがんでいるのだろう。あんな国―…。
そこからの治療は，何故か少しだけ辛かった。
ut「…はい，お疲れ様でした。」
私は治療された部分をじっと見つめる。…やっぱ，丁寧なんだよな。此奴の治療。人は見かけによらないとはこのことだ。
ut「…ひとつ，聞いてもええ？」
そのとき，鬱の顔からやんわりとした笑みが消えた。まるで，蝋燭から火が吹かれ消えてしまったように。
正直答えるつもりもなかったが一応「何？」と返す。
ut「彼奴等の作戦，何か知らん？俺等や見当もつかんねん。宣戦布告したくせに攻撃してこんとか…。」
聞いていることはロボロと同じだが，表情は全く違う。
ロボロのように殺気，嫌悪感は感じられない。
…それはそうと，本当に知らないのだ。寧ろ，そんなの私のほうが知りたい。何故この状況で宣戦布告したのか。何故今までは助けてくれたのに，今回は迎えに来てくれないのか。…何故，私はあの国を嫌いになれないのか。
『…知ってたら，とっくに脱出してその作戦に参加してる。』
ut「はは…それも，そうやな。」
そう微かに笑いつつ，鬱は治療道具を救急箱の中にしまう。
いつもの数倍諦めが早いのも，此奴だからだろう。
ut「…ほな，な。」
そう，鬱は牢内に甘い匂いを残して去っていった。
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とれにあ(プロフ) - 匿名ｯさん» 待たせてしまって申し訳ないです。今絶賛制作中なので気長に待ってくださいませ🙇♀ (4月22日 18時) (
レス) id: 0de92a5b6d (このIDを非表示/違反報告)
匿名ｯ - あ〜続きがすんごい気になってテカりそう.....(???)無理しないように更新頑張ってくださいませ!! (4月21日 20時) (レス) @page29 id: ed47510f53 (このIDを非表示/違反報告)
とれにあ(プロフ) - どっかのだれかさん» そんなこと言ってくださるなんて…嬉しすぎます！更新頑張ります💪 (3月31日 10時) (レス) id: 0de92a5b6d (このIDを非表示/違反報告)
どっかのだれか - 神作品みっけ…✨拷問してるときの表現がとてもわかりやすくて想像しやすいからめちゃ面白いです！無理なさらず自分のペースでいいので更新まってまふ…( ˊ̱˂˃ˋ̱ ) (3月30日 21時) (レス) @page25 id: 3f3fe52288 (このIDを非表示/違反報告)
とれにあ(プロフ) - 燈矢さん» grさん可愛いですよね！ありがとうございます✨ (3月7日 17時) (レス) id: 0de92a5b6d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：とれにあ | 作成日時：2024年2月2日 19時
