【d!】心まで、透明化してよ (ページ39)

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39話ページ39

数日後

sn「車椅子なら、動けるようになったね」

「…そうですね」

やっとことで両腕が使えるようになった
足は複雑らしくまだまだ時間がかかるとのこと

…またさらわれたりしたらたまったものではない
常に監視カメラに見られる位置にいよう

sn「…どこか、行きたいところとかある？」
「ないです。治療ありがとうございました」
「部屋に戻ります」

sn「…」

彼女は、俺らに対してわざと冷たい態度
をとる。それは、嫌いやからではなく

守るため。

どうしてそれが守るためになるのかは
まだ分からへんけど、彼女に悪意は無い

無意識だった。体が勝手に動いた
車椅子で出ようとする彼女を無理やり
引っ張って、腕の中におさめた

彼女の匂いが、鼻に踊りこんできた

sn「…」
「…離してくれますか？」
sn「…これからは、ちゃんと治療するから怪我したら来てな」
「無能は、自力で治すので大丈夫です」

sn「貴方は、A。…無能やない」
sn「…ちゃんと治す。貰った金はまとめて返す」

sn「…やから、…また、…また、前みたいに」

「…」

「しんぺい神様」

sn「…」

顔を上げると、相変わらず
包帯が途絶えない彼女と目が合った

深海のような深みのある目には
哀愁と慈愛が込められていてその目をみるのが

好きだったことを、思い出した

「それじゃ、意味が無いんです」

sn「…君に、守ってもらわへんでも、俺らのみは、俺らが」

「違います」

「…貴方たちは、優しいからダメです」
「それじゃ」

sn「…」

《あのこと》が関係しているのは
明確や。でも、もし、あの状況になったら

Aだって、俺らと同じ行動を、とったやろ？

sn「…自分ばっかり、やめてや」

1人になった医務室で、医者は
膝を着く。罪悪感というには
深すぎる感情を涙で、1粒ずつ
味わう

監視カメラだけが、それを
見ていた。

───
sn

ショッピを守ったAをみて
無能になったんだと気づき後悔

Aのことが好きだった

これからは、彼女の治療を無料で
率先して行うようになる