【d!】心まで、透明化してよ (ページ22)

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22話ページ22

zm「嘘や」
「いっ」

zm「嘘や、お前今嘘ついとる」

ナイフを遠くになげとばして
手ぶらのAを押し倒す
正座はその行為をスムーズに進めさせた

抵抗もせず冷たい目
俺に殺されるかもしれへんのに

zm「…A」
「私は、無能です」

zm「…答えて、」
zm「どっち、なん」

「…」

zm「…」

久しぶりにAの焦っとる顔を見た
いつも傷つけていた腕は、こんなに
細かったんか

顔とやつれてた
足も細いし、体が小さい

死ぬ、のか

「…私が貴方に求めるのは、1つです」

Aは俺の手をとり
静かに自身の首に回した
細くて白い首元の感触に
背筋がしびれる

「いつでも私を殺せる気持ちでいてください」

zm「…それ、って…《あのこと》に関係してるんやろ」

「さぁ」
「で、出来ますか？」

「殺せますか？」

zm「…」

《あのこと》を根に持っていたのは
俺らだけやなかったらしい

Aの目は本気や、
本気で殺せるかを尋ねている
そんなんさ、

zm「…」
zm「ｯ……」

「……殺せないなら、殺せるようにするだけなので」

「離れてくれます？。」
「重たいんですけど。」

zm「ｯわかった。殺すから、ちゃんと」

zm「ちゃんと、め、いれいがあれば…」
zm「…やから」
zm「……」

zm「…殴って、刺して、…傷つけて…すまんかった」

この一言で許されることはできない大罪
半年間で彼女に消えない傷ばかり作ってきた

二度と癒されることはない記憶も、沢山。

Aは、都合のいい謝罪をきいても
睫毛も不動のまま起き上がり部屋からでて
いこうとした

「…大丈夫です。許しませんから。」

zm「ｯ……」

「それじゃ、無能は離席しますね。」

zm「…」

俺バカやから、わからんけど
Aは…無能のフリをしてきたんや

殺されるために

…

zm「…」

昨日まで、傷つけてきた人間が
何を言っとるん？って言われるのはわかってる

けど、

Aを殺したくないねん

zm「…」

もう傷つけへん
Aを助けるんや

…

罪滅ぼしのために、

───
zm

Aの同期

《あのこと》で裏切られたと勘違いし
半年間で1番傷をつけてきた

Aの目的を知ってしまい、
己の行動を反省し、

これからは、Aが死なないように
みまもる犬になる