【d!】心まで、透明化してよ (ページ13)

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13話※ ページ13

俺が構えたのがバレたのか
いつもよりあいつが来るのが遅かった

昼になる手前、青白い顔をしたAが
俺の前に立ち書類を渡す

昨日までなら、名前もみずに確認し
こいつに新しいのを取らせていたが

tn「…」

やっぱり、か。

「…」

tn「おい」

「…なんですか」

トントン様は、私の書類を
握りつぶしていた。何か、不備があったのか
名前の改ざんはバレてないはず、だけど

tn「お前の名前は、シャオロン、なんですかねぇ」

「ｯ……」

なんで。このタイミングで
この多忙期に貴方はそれを見たのか

渡してしまった証拠は彼の手のひらで
広げられ堂々と別名をさらけ出した

tn「おかしいねん。
あいつらの名前で全然違うやつが
出てくるんやから」
tn「…調べたんやけど」

tn「なんで自分の書類を人の名前に書き換えてた」
tn「理由を話せ。無能」

「…」

tn「…」

無能…いや、Aは
喉から出かけた言葉を、溜息に濁して

いつもの息絶えた魚の目に戻る

「…無能なのでわかりません。」
「なんで理由を求めるんです？
貴方たちの
情けでかわれたゴミが
理由不明な行為をしたなら、」
「さっさと処分したら？。」

「まさか、更生でも期待してるんですか？。」

tn「ｯ！」

バシｯ

「いっ…」

tn「…ふざけんな。無能」

煽った無能に馬乗りになって
口が喋れないだけ叩き続ける

パンパンに腫れた頬をみて
やっと熱も覚め

一瞬《あの頃》のAを
思い出してしまった

tn「ｯ…せっかく、お前に挽回のチャンスを与えたのに」

tn「…期待した、俺が悪かった」

tn「んでも理由は言え」
tn「処分にしても理由がないと分からへん」

「…」

「なんででしょうね」

tn「このやろ「…トントン様」

tn「あ"？」

Aは、叩く直前の俺の手に

そっとナイフを添え刃の先を
自身の首元に向けた

tn「え」

「…もし、命令があれば私を殺せますか？」

tn「は、？……当たり前やろ。喜んで殺すわ」

「…」

「良かった」

tn「え」

俺の僅かな隙間から逃げ出したA
勝手に書類も取られてて、

呆然とした男だけが立ちすくんでいた

時間が刻む音のみが、部屋を生かす

意味が、わからへん
殺されるからよかった？

てか、あいつは意味わからん

《あの出来事》以外

何も、

してこんかった

tn「…なぁ、…どういうことや…」

A、

なんで、《無能のフリ》してるん、？

───

期待した、俺が悪かった

2通りの意味